『X-MEN: アポカリプス』 ― 部下に離反され、新人に負けるワンマンボス。







邦題 : X-MEN: アポカリプス
(原題 : X-Men: Apocalypse)
公開 : 2016年
監督 : ブライアン・シンガー
出演 : ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、
ジェニファー・ローレンス、オスカー・アイザック、ニコラス・ホルト、
エヴァン・ピーターズ、ソフィー・ターナー、ヒュー・ジャックマン 他




 6月1に公開されるX-MEN新作『LOGAN/ローガン(原題 Logan)』が楽しみだが、本編の方でも『ダーク・フェニックス』、スピンオフでは『ニュー・ミュータンツ』『デッドプール 2』が、なんと2018年に一気に三作も公開されるというニュースが発表された。


 『ダーク・フェニックス』ということは、旧三部作の『ファイナル ディシジョン』と同じく、フェニックスことジーンが敵側に回る物語となることが予想されるが、そのジーンが力の片鱗を見せる作品が『アポカリプス』である。


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 『X-MEN: ファースト・ジェネレーション(原題 X-Men: First Class)』『X-MEN: フューチャー & パスト(原題 X-Men: Days of Future Past)』に続く、新三部作の締めとなる本作だが、上映時間の長さに対して内容が詰め切れていない印象を受けた。


 まず本作の敵であるアポカリプスことエン・サバ・ヌールだが、彼は人類最初のミュータントということであり、他人の肉体に己の精神や記憶を移植するという超常的な力で、太古の時代から現在まで死なずにいるという人物である。


 上記の能力はそれで良いのだが、エンジェルに金属の羽を与えたり、ストームの能力を大幅に強化したりという、いとも簡単にあっさりとパワーアップさせてしまう能力はやや興ざめした。


 強化すると同時に洗脳状態にして絶対に裏切らないようにするとか、眠っている力を引き出す代償として寿命が大幅に縮むとか、本人に「それでもアポカリプスに忠誠を誓う」という選択をさせても良かったのではないかと思う。


 それが証拠に最終決戦で、そのストームに裏切られて敗北したわけだ。部下の管理ができておらず、与えた力で寝首をかかれるかもしれないという警戒心も欠如していたという、あまりに間抜けな最期だった。


 誰がどうやっても勝てっこない絶望的なラスボスというレベルには程遠い小物だった、という感想を多くの人が持ったのはそういうことだろう。


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 ところで、本作ではなぜジーンがあそこまで強い力を持っているのかという説明がない。


 旧シリーズの描写を見ても、不死身のウルヴァリン以外には誰一人何もできない、近づくことすらできない、まったく歯が立たないという絶望的なまでに無敵の力を持っていた。それこそアポカリプスどころではない。


 本作においても、アポカリプスにとどめを刺したのはジーンだった。マグニートーやビースト、スコットなど他のメンバーが総攻撃しても動きを封じるのが精一杯という相手を、フェニックスフォースとともに雄叫び一閃、大ダメージである。



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 彼女の力の正体については2018年の新シリーズで描かれるのかもしれないが、少なくとも本作では何の説明もないため、視聴者は、彼女がいきなり美味しいところを一人で持っていったという印象を持ったわけだ。


 旧シリーズでは、ダムの底に沈んだ彼女がフェニックスのオーラを浮かび上がらせて幕を閉じたことで、「彼女の正体は何かとてつもない力を持った怪物なのか?」と視聴者に思わせて最終作へ入ることができた。


 それが本作では、いきなり雄叫びとともにフェニックスの力を出してしまった。自分の力に不安がる描写は確かにあったが、あのように年端もいかぬ少女が神にも等しいアポカリプスを瞬殺するとまでなれば、ちょっと話が行き過ぎている。


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 ジーンについては、できれば旧シリーズのように、力の片鱗を見せる作品と、覚醒して超常的な力を発揮する作品とを分けるべきだったのではないかと思う。


 あるいは、2018年からのシリーズで初めて登場させ、物語の核に彼女を置いたストーリーにすれば良かったのではないか。そういう意味で考えれば、今作の彼女の登場はフライングだったとも言える。


 なにせ、神にも等しい力を持った最終ボスよりも、さらに飛び抜けて強いのだ。どう考えたって扱いが難しいのは明白なのだから、初めて観る者にも納得がいくように、きちんと説得力を持つように描いてもらいたかった。


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 クイックシルバーの超高速シーンだけは手放しに素晴らしい。前作からさらにスケールをアップさせ、もはや一つの様式美を確立したと言えると思う。


(終)






600点の特典ポイントで本作『X-MEN: アポカリプス』が無料。
2017年12月20日 23:59まで配信。


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